究極のオモロサイトVS至高のオモロサイト(前編)
(初稿:2000/10/30・改変:2003/02/12)


  ある日の雪崩式新聞社に叫び声がこだました。
富井 大変だ、大変だぁっ!!帝国新聞にやられたあっ!! うちの企画が、盗まれたあっ!!
  するとそこには、谷村部長をはじめとする文化部のメンバーを睨み付ける小泉編集局長の姿があった。
富井 こ、小泉編集局長………
  静まり返る文化部。そこに駒岡がやってくる。
駒岡 ふわあ………二日酔いをこらえて働きに出て来る私は、ああ〜サラリーマンの鑑ですっと………
富井 ええいっ、きさまは死刑だ!!
駒岡にハイパーニー空牙を喰らわす副部長。
駒岡 あたっ、あたたたたっ!!お、お前長井だろっ!
富井 ハア、ハア、ハア
駒岡 ちょ………ちょっと副部長、どったの………?気を確かに………
富井 大原社主のお部屋に行けえいっ!!
駒岡 へ?
富井 さっさと行けえいっ!!
  訳も分からぬまま、社主の部屋へ行く駒岡。
駒岡 くそ………なんだってんだよ、いったい………!?朝っぱらからさ!
  社主の部屋に入る駒岡。
駒岡 へい、おはようさん!
小泉 こっちに来い!!
駒岡 へ?
  険しい顔で駒岡を見る大原社主。
駒岡 なんなんですか、いったい………
小泉 読んで見ろっ!!
駒岡 はあ?
  小泉に渡された新聞を読む駒岡。
駒岡 ええっ、「至高のオモロサイト」だってさ!我々の「究極のオモロサイト」に似ているねえ………
小泉 なにをのんきなこと言ってるんだ!その先を読んで見ろっ!
駒岡 へえ?さて、「至高のオモロサイト」作りにあたって当社では現代最高の笑いの達人………
  顔を曇らせる駒岡。
駒岡 な、なにいっ!!
  新聞の一面には「帝国建設倶楽部」を経営する里原雄山の写真がでかでかと載っていた。
駒岡 里原雄山がっ!?
小泉 これは我々の「究極のオモロサイト」作りに対する、帝国新聞の挑戦なんだ!しかも連中は、一ヵ月後から毎週、日曜版の特集ページを使って、「至高のオモロサイト」を次々と発表していくと書いてある!
駒岡 ………!
小泉 帝国新聞は、明らかに我々の企画を知っていながら、それを盗んだんだ!だが紙面に表れるのは向こうが先だ!これも、おまえたち二人がなまけてグズグズしていたからだ!我が社の創立百周年の記念事業を台無しにしたんだっ!!おまえなんか死んでしまえっ!!死んで責任を取れっ!!
谷村 全ては上司の私の責任です。辞表を出します。あいつとの約束を実現するには、こういう形ありません。でも雪崩式新聞が大好き!
小泉 そうか、君も悩める若者だったわけだな。辞表を出すと言うのなら、私は引き止めないよ。
谷村 はい。
大原 待て………
駒岡 部長が会社をやめることはありません。俺が一番悪いんだから、俺がやめればすむことです!
栗田 私もやめます、私と駒岡さんが悪いんです!!
大原 待てといってるんだ!そんなことで、きみたちは責任が取れると思っているのか?
  言葉を失う一同。
大原 きみたちがやめても会社は残る。企画を盗まれ、部数競争でも苦戦を強いられる我が社は、そのまま残るんだ………担当者がやめれば、我が社の「究極のオモロサイト」作りの企画は幻となってしまい、帝国新聞の「至高のオモロサイト」に名を成さしめることになる!きみたちは悔しくないのかっ!?負け犬として、会社をやめて行って、それで悔しくないのかっ!!
谷村 社主っ、これ以上の悔しさはありませんよっ!
駒岡 里原雄山が向こうの指揮を執るあってはなおさらだ………腹わたが煮えくり返る思いがする!
大原 よおし、それではきみたちに責任の取り方を教えてやろう。帝国新聞の「至高のオモロサイト」に勝つんだ。
谷村 えっ!?それは………
大原 駒岡くん、きみはもうすでに「究極のオモロサイト」に載せることの出来るホームページをいくつか発見してあるはずだな?
駒岡 その気になれば、オモロサイト巡りを一ヶ月連続でできるくらいの手持ちはありますよ。
小泉 それならどうして今までそれを紙面に載せなかったんだね?
駒岡 へえそうですか、「究極のオモロサイト」なんて、そんなにチャラチャラたれ流すみたいに紙面に出すものなんですか!?俺は春、夏、秋、冬それぞれ一度極めつけのサイトをそろえようと念を入れていたんですがね!
大原 む………私も「究極のオモロサイト」を小出しに発表していくつもりはなかった。全部完璧に仕上がったところで、一度に大々的に発表するつもりだった………。それが結果的に、駒岡がグータラしているのを許すことになってしまった訳だ!ところがこの発表によると、帝国新聞は毎週小出しに してくるらしい………。そこで、我々の取る道は二つだ!企画を全面的に放棄して負け犬となるか、あるいは方針を変更して帝国新聞と闘うかだ!
谷村 方針を変更すると申しますと………
大原 帝国新聞と同様に毎週「究極のオモロサイト」を発表し続けて、内容で帝国新聞を圧倒するのだ。
栗田 毎週、「究極のオモロサイト」を!?
駒岡 しかも内容で帝国新聞に勝てというんですか!?
大原 ほかに負け犬にならない道があるなら言ってみろっ!!
駒岡 ………
  しばらく沈黙が続く。少しして、意を決した駒岡が口を開いた。
駒岡 やります。やらせてください。
栗田 一生懸命がんばります!
谷村 社主、我々にもう一度機会を与えてくださったそのご厚情、肝に銘じます。
大原 ここでおめおめ引き下がれるか!
  こうして雪崩式新聞社と帝国新聞のオモロサイト対決がはじまった。
そして、その旨を知った帝国新聞のトップは、帝国建設倶楽部の里原雄山を訪れていた。
秀沢 いやはや雪崩式新聞も必死ですよ、我々に戦争をしかけてきました。同じ日曜版に、我々と同じ来月第二週から開始というんですから!
嶺山 「究極のオモロサイト」などといってますが、果たしてどんな物が出て参りますことやら………
里原 はっはっは、私は雪崩式新聞で「究極のオモロサイト」とやらを担当している人間をよく知っている。笑いのことなどろくに分かっていない、ただの若僧だ!
秀沢 わははっ!それじゃこの勝負はもう見えていますな!最近の若い新聞記者の程度など知れています。
嶺山 そんな手合いが、里原先生と渡り合おうなんて、藤田ミノルが新日に戦いを挑むような身の程知らずなことです!
里原 ふっふっふ。
平野 ま、何を「究極のオモロサイト」といって、持ち出してくるつもりか知らないが、いい物笑いになるのが落ちですよ。里原先生におまかせしておけば大丈夫と、安心しております。
嶺山 今度の企画で、新しい読者を獲得するのはもちろん、雪崩式新聞の読者までこちらに頂いてしまおうと考えております。雪崩式新聞に対して、決定的な差をつけることがこれで出来るでしょう。里原先生、よろしくお願いします。
里原 引き受けました。
  そこに良三がやってくる。
良三 先生、お呼びでございますか?
里原 おう良三、こっちへ来い。これはうちのテキストネタをつとめる岡星良三といいます。今度の「至高のオモロサイト」の中で、テキスト部門の選択はこの男に委ねます。
良三 どうぞよろしくお願いします。
秀沢 ほう、お若いのに里原先生のご信頼がお厚いとは!
嶺山 よろしくお願いしますよ。
良三 はい、一生懸命つとめます。
仲居 失礼します。岡星さん、栗田さんという女の方からお電話です。
良三 え?ああはい………。すみません、ちょっと失礼します。
里原 栗田………?
  訝しい顔をする里原。良三は栗田の電話を受け、喫茶店で会うことにした。
栗田 申し訳ありません………
良三 栗田さんでも、たとえ駒岡さんといえども、そういう質問にはお答え出来ません。私は里原先生を裏切る訳にはいかないんです………
栗田 本当にごめんなさいね。私ったらなんてことを良三さんにお願いしちゃったのかしら!?「至高のオモロサイト」の第一回はどんなところか教えてくれだなんて………私、少しでも駒岡さんの役に立とうと思っただけなの………でも、このことを知ったら、駒岡さんきっと怒るわ。
良三 すみません………
栗田 謝るのは私の方よ………
  気まずい空気が流れ、それ以上の会話は無く二人は別れた。その後、帝国建設倶楽部に戻ってきた良三を、仲居が呼び止める。
仲居 あら、先生がお呼びよ。
良三 え?
  里原の部屋へ向かう良三。しばらくネタに没頭していた里原が口を開いた。
里原 良三、栗田と言うあの娘に伝えろ。
  驚きの表情を隠せない良三。さらに里原が続ける。
里原 「至高のオモロサイト」の第一回は「とにかくオモロいオモロサイト」だとな。そしてもし、士郎に私と張り合う気力があるなら、「究極のオモロサイト」の第一回で「とにかくオモロいオモロサイト」を出してみろと!
良三 あっ、う………!!
里原 士郎はよほど自信がないんだな、おまえを通じて私の手の内を探ろうとは!
良三 めっそうもない!駒岡さんはそんなことをする方ではありませんっ!それに、私は、死んでも先生を裏切ったり致しません!信じてくださいっ!
里原 分かっている………おまえに裏切られたら、私の器量がそこまでだったとあきらめるまでだ。いいな良三、士郎にちゃんと伝えろよ。
良三 は、はい分かりました………
  良三はこのやりとりを栗田に伝え、栗田は岡星で、このことを駒岡に話した。
駒岡 なにい!?「とにかくオモロいオモロサイト」で勝負しろだとっ!!
栗田 ええ、良三さんがそう伝えてきたの………
岡星 「とにかくオモロいオモロサイト」ですか………ふうん………
栗田 どうするの?
  ビールを頭から浴び、駒岡は叫んだ。
駒岡 やってやろうじゃないかっ!!その勝負受けてやると里原雄山に伝えてくれっ!!

究極のオモロサイトVS至高のオモロサイト(前編)
−完−